勝てないからテーブルごとひっくり返す

社会変革とは私にとって、バンクシーが言うように、勝てないからテーブルごとひっくり返そうとする衝動のようなものかもしれない。

だが、そんなことはバンクシーにさえできていない。

せいぜいが博物館に自作を勝手に展示することで、結果的に街の壁面から採取されたグラフィティの価格をつり上げることくらいか。

テーブルごとひっくり返す、というのは、旅客機のコックピットを占拠して高層タワー目がけて突入したり、いくつかの原発にロケットランチャーの照準を同時に向けることくらいなのだろうか。

もう少しだけ、美しいひっくり返し方はないものだろうか。

 

目で見る美術が、目に見えない社会の構造を変化させる。

資本主義社会の一商品として認知されるはずの作品が、その価値体系の内部か外部に位置し、やがてその価値体系に変化を与える。

美でありながら、美であるがゆえに、この貨幣経済に後戻りができない変化をもたらす。